Love nest
「っ!?え、け、景吾?・・・・・・・。・・・・けーごさーん。」
・・・・・・。
どーしろってんのよ。
只今、午前2時をまわりました。夜中真っ最中です。身動きが取れません。
身動きが取れないといっても、決して金縛りに遭っているわけではないです。
ないのです、が。むしろ金縛りだった方がどれだけよかっただろうか。
とりあえず辛すぎるこの体勢をどうにかしたいわけですが。
「・・・・・起こすわけにもいかないよねぇ。」
小さく聞こえないように、溜息と共に言う。
昨日今日、久しぶりの2日連続のテニス部のお休みで、まあ、当たり前の如く、
景吾に、彼の一人暮らしのマンションに連れて行かれて。
・・・・・・。まあ、色々あって。
さっきまで、本当、さっきまでは普通に寄り添って寝てたんです。
素っ裸だけど。否違う。私は服着てます。景吾のシャツ1枚だけど。そんな事はどうでもよくて。
・・・・・・・・・・今の状況を、簡単に、簡潔に、説明するとですね。
私が景吾の上に乗ってます。
景吾の意識は無いと思われます。
完全に、寝息たててます。
ぐっすりです。
実は相当疲れていたみたい。だったら私を連れ込んで、・・・・、その、う、運動、しなければいいのに。
と、思うのですが。久しぶりが嬉しく無かったのかと言われるとぶっちゃけ嬉しかったのですが。
いやいやいやいやいや。そんな事はどうでもよくて。どうでもよくないけど。とりあえず、置いといて。
さて、どうしよう。
ゆっくり、彼を起こさないように、動いてみる。
が、思った以上に私を抱きしめる力が強い。
腰に回った腕はびくともせず、むしろ、ちょっと、つ、強くなってない?
・・・・・・・。状況悪化。簡潔に言うとつまりそういう事。
このまま眠れるほど私は寝つきが良くないわけだし。
んー、やっぱ、起こすしかないかな。
可哀想だけど仕方ないよね。
私は、少し身を起こしてぺしぺしっと軽く景吾の肩を叩く。
・・・・・・。いつもならすぐに起きるはずなのに。
何で起きないのよっ!
「・・・・・・・ん・・・・・・・?」
ぼうっと焦点が合ってない。
・・・・・・こんな景吾久しぶりすぎる。
「ごめんね、起こしちゃって。あの、腕、放して?」
頼んでみるが、片腕だけしか放してくれない。
景吾は放した片腕で近くに放ってある腕時計を手に取る。
「・・・・・・まだ・・3時じゃねぇか・・・・何処行くつもりだ?」
「え、あ、何処にも行かないよ?」
つーか、私1時間も考え込んでたのか。
「・・・・・・・・じゃあ起こすな、寝る。」
「え。や、ちょっと、寝ちゃ駄目!」
体勢の殆ど変わらないまま目を瞑る景吾に、慌ててぺしぺしと頬を叩く。
「・・・・・・ンだよ・・・。」
「放して!」
「・・・・・・・。」
うっわ、嫌そうな顔してる。
「じゃあ、せめて、横向きにしようよ。」
本当は放してほしいけれど、妥協。
すると、景吾はどうにか理解してくれたみたいで、くるりと身を横に倒す。
「あ、ありがと。ごめんね。もう、寝ていいよ?」
楽になった体勢にほっと一息吐く。
まだ3時だし、寝よ。
あー、凄い楽。
目を瞑ってふぅと力を抜く。隣でシーツが擦れる音がする。
景吾が寝返りをうったのかな。私は、景吾に寄り添おうと動く。
・・・・・・。あれ?
動いてみても、景吾にぶつからない。
不思議に思って目を開く。視界には景吾の腕だけ。
・・・・・・・・・・。
この光景はどこかで見た。どこだ。結構最近。
そうだ。確か、昨日、景吾の家に行ってすぐにベットに連れ込まれた時に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・っ!?」
いきなり頬に何かが触れて驚いて仰向けになる。
目の前には、景吾の顔。
・・・・・・・・・・今の状況を、簡単に、簡潔に、説明するとですね。
「景吾っ。何、う、上に乗ってんすか!?」
景吾が私の上に乗ってます。
景吾の意識はしっかりあると思われます。
完全に、目が覚めてます。
ぱっちりです。
さて、どうしよう。
とか言ってる場合じゃないっ!
押し倒されてるし!!
「・・・・えーっと、これは、どういう、」
「目、覚めた。」
そう言って景吾の唇が私の唇に触れた。
「っ疲れてるんでしょっ?」
「・・・・・・・。・・・あぁ。」
「じゃあ、寝ようよ!」
「。」
何ですか!
そんな声で呼ばないでください!!
構わず行為を進めようとする景吾の頭を慌てて抑える。
うっわ、不機嫌そうな顔された。
「。」
・・・・・・。
駄目です。負けました。
私こんなに諦めよかったっけかなぁ。
完全に景吾にそうなるように教え込まれた感がするけど。
そんな事を思いながら、景吾の頭を抑えるのを止めて彼の髪の毛に指を絡める。
私のその様子に満足したのか彼はフッと笑って、ちぅっと音を立てて頬にキスした。
「。」
景吾の声が心地いい。
友達に呼ばれたりするのとは、全然違う。
やっぱ、好きだなぁ。
景吾に抱きしめられながら、そう思った。
END
あとがき
未優様のリクエスト。
「跡部様」「面白系ヒロイン」「名前を呼ばれたい」「長いのは苦手なので短めで」
との事で、こんな感じになりました。面白系、というよりただのセルフツッコミ娘になってますが。
いつもと違う書き方ですが、いかがでしたでしょうか。
感想、リクエスト、ありがとうございました。
ギリギリのヒロインの自問自答、書いてて楽しかったです。
どんどんタイトルがおかしくなっていますが、気にしないでやってください。