Fever and Love ....and You























「・・・・・・・おかえり、侑、士。」


今日も夜遅くまで働き詰めでマンションに帰ってみると、
いつもの、おかえり、という元気な声は聞こえずに、代わりに元気の無い、
明らかに顔色の悪いがソファーに座っていた。


「ただいま。、具合悪いん?」

「ん、大丈夫だよ。」


にへらっと笑ってみせるが、余計に具合の悪さが表に出た感じだ。
俺は彼女の額に手を当ててみる。


「・・・・・・・熱いな。」


棚から体温計を出して彼女に渡す。
大丈夫だと返そうとするが、それを許すわけにはいかない。
医者の卵だとかそんなの関係なしで、具合の悪いは見たくはないから。
体温計は受け取らず、彼女の頬を撫でる。
俺の言いたい事がわかったみたいで、目を伏せてブラウスのボタンを外して体温計を脇に挟む。
満足して彼女の頭を撫でてやると頭を上げて、俺を見た。


「ええ子や。着替えてくるからな。音鳴るまで動かんと待っとき。」


俺がそういうと、こくりとは頷く。
その首の動きも何だか力なくて、相当具合が悪い様だ。








早く着替えて来よ。























シャツのボタンを留めながらのいるソファーに行くと、俺の前に体温計を差し出す。
デジタル部分を見てみると、そこに表示される数字は彼女の平熱を超えている。

体温計を切って、俺は、彼女の顔を見る。



・・・・・風邪か。






「熱ある・・・・何で起きてたん?」


少し強い口調で言うと、はしゅんとして俯いた。


ソファーに座る彼女の前にしゃがんで、両頬に手を当てて優しく顔を上げさせる。






「・・・・・。」


彼女の名前を呼ぶと、目を泳がせてから俺の右手に彼女の手が触れた。








「・・・・・・・・侑士、待ってたかった・・・から。」





結婚してから、いつも寝ずに待ってて。
俺が帰ってくると、おかえり、と言って玄関まで来てくれる彼女。



今日その言葉が聞こえてこなかった違和感。


靴を脱いでいた時のしんとした違和感。




「・・・・・。」

「な、に?」



「ありがと。」


「・・・・えへへ。」


にこりと笑うと、彼女も微笑む。

頬に添えていた両手を彼女の膝裏と背中に通す。
寝室に運ぶため抱え上げると、は驚いて目を見開いた。


「・・・ゆっ・・侑士っ。」

「掴まっとき。」


大人しく俺の首に手を回す。
その腕も熱のせいで熱い。

・・・・・ん。それだけでも無さそうやな。


「・・・・・・侑士。」

「ん?」

「まだ、寝れないよ。お夜食・・・」

「ええから。」


俺が遮ると、は少し考えるような素振りをみせる。
視線が合ってじっと見つめると、彼女はおずおずとベットに潜る。


「ええ子。」

「・・・・・・侑士。」

「ん?」

「・・・ごめん、ね。」

「何で謝るん?」

「・・・・・・侑士に、迷惑かけてる。」


布団を鼻が隠れるまでかぶる。
俺は頭を撫でて、首を横に振った。


「迷惑とちゃうよ?」

「・・・・でも」

「俺こそごめんな。帰るの遅くなってしもて。」

「・・・・っ侑士は、悪く、ないよ・・・。」


泣きそうな顔で言う
俺は握り締める布団を首まで捲って、現れた彼女の唇に口付ける。


「・・・・・っ・・うつっちゃう。」

「明日から休みや。俺にうつし。」





の風邪俺が全部受け取ったる。




そう言って、俺はに覆いかぶさる。





軽く触れる唇。





それから徐々に深くしていく。








「・・・・・・っん・・・・」



苦しそうに空気を取り入れようと漏れる声。
熱がある事も重なって、いつもより熱を持つ。
















「・・・・・・このまま、食ってもええ?」



耳元で呟いてみると、の体が震えた。


「冗談や。」


びっくりさせてごめんな?と笑ってみると、
はほっとしたのか緊張を解いた。


「・・・・・・侑士。」

「ん?」

「・・・・眠るまで、ここにいてって、言ったら、困る?」


布団をまた鼻が隠れるくらい被って言う


「困らんよ。」

「・・・・・・本当?」

「本当。」

「じゃあ、お願い・・・・」


俺が頭を撫でてやると、は気持ち良さそうに目を細める。
頬に口付けを落として彼女に微笑む。

































「風邪治ったら、いっぱいいちゃつこう、な。」






瞳を閉じたに向かって俺が小さくそう言うと、彼女は目を見開いて、
困ったような表情になって、それからにへらと微笑んだ。

















































あとがき

ゆみ様からのリクエスト作品です。
「忍足」「未来」「ええ子って言われたい」というわけで。
こんなんになりました。調子にのって「ええ子」は複数入れてみました。
感想そしてリクエストありがとうございました。

これは甘いのでしょうか。
甘いのか?もう甘さがわかんないです。
本当にすみませんこんなんですみません。(土下座
っつーかタイトルが変。