【 MARBLE    強く強く強く離さないで・・・っ! 】


























んで。

とりあえず袋の中で蠢く虫たちは、
殺したくは無いから跡部の車でちょっと遠くの森に持って行ってもらった。


袋を差し出したときの運転手さんのあの顔は忘れられません。




押し付けてごめんなさい。
























「・・・・・・・・・・・・。」


「どーしたの皆。」


一仕事終えたは紅茶を啜っている。
カップの持ち方が湯飲みを持つおばあちゃんみたいな感じなのはご愛嬌。









「・・・あ・・ありえへん・・・・ありえへん・・・・・・・っ。」


がくがくと頭を抱えながら震える忍足。
でっかい図体でそれは若干キモいですよ。


「一体、何がありえへんなの?」

「女の子が雑誌丸めて虫怯ませるのはあかん!!」





・・・・・・・・。




「はぁ?」

「普通は、『いやっ・・虫キライッ!!忍足君助けてっ!!!』っちゅー場面やろ。
 それをむしろ己から進んで虫に向かっていくなんて・・・・・・・・・。、自分女か?」

「失礼な。女に決まってんでしょー!」

「ぎりぎりだがな。」

「まだ言うかっ!」


跡部を睨みつける


ちゃんは女の子だよー。ふにふにだよー。」


がしっとに抱きつきながら芥川が言う。
も抱きしめ返す。


「・・・・・って。ジロー君。」

「なにー?」

「わき腹をふにふにしないでください。」


肉が凄いって言いたいのかお前。



「つーか、ジローに触られるのは怒らないんだな。」

「うん。あ、岳人も平気だよ?かもーん。」

「え。ヤダ。」


また断られました。

ちゃんしょっきんぐです。

悲しいのです。


「なあ、平気とそうでないの基準って何なん?」

「んー。老けてるかそうでないか?」


沈黙。


「・・・・・。ちょっと待て、それは、俺が老けてるって言いてぇのか?」

「うん。」


沈黙。パート2。


「・・・・・お、俺も?」

「勿論、忍足も。」


沈黙。パート3。


「ちなみに、俺は?」


恐る恐るといった風に聞く宍戸。
これでに無理だと言われるとつまり自分が老けているという事になってしまう。


「宍戸は平気だよ!」


にっと笑ってが言う。
ついでに、かもーん、と両手を広げてみるが一歩後に下がられてしまった。


「ええとね、鳳君とヒヨも平気。滝君も平気。樺地君も平気!」

「ちょっと待て!何で!?何で俺駄目で樺地ええの!?

「え。普通そうでしょ。

「明らかに樺地でかいやん!!俺よりでかいやん!!!」

「でも樺地君は老けてないやん?」

「待て!関西弁ちゃう!!」

「何で!?同じだよ!文面同じだよ!?」

「イントネーションの違いや!!」

「はぁ!?同じだったよ!!」

「違う!!!」

「あの、ちょっと、趣旨変わってません?」

「「・・・・あ。」」


鳳の言葉に声をそろえると忍足。
ごほん、とわざとらしい咳払いをして忍足が口を開く。


「つまり、俺と忍足以外なら平気って事かよ。」

「そういう事。」


こくりと頷く
がくりと項垂れる忍足。


「つーか、それじゃあむしろ女癖悪いやつが駄目って事じゃねぇ?」

「そうそう!その通りだよ!」


向日の言葉に、はぽんと手を打つ。


「岳人天才!凄い!」

「まあな!」

「ご褒美に頭撫でてあげるからこっちおいで!」


がそう言うと向日は大人しく寄ってくる。
わしわしと頭を撫でる。


「それじゃあ、へのご褒美やん。」

「忍足は黙れ。」

「酷っ!」


まんまとの思惑に嵌った向日であるが、
本人も嫌がっているわけではないみたなのであえて言及はしないでおこう。

突然ガコンッとロッカーを乱暴に閉める音が鳴る。
何事かと音を出した本人以外の視線が一点に集中する。


「俺、着替えてきますんで。」


淡々と言い放つ日吉。言うまでもなく彼がロッカーを閉めた本人というわけなのだが。
そのまま隣の部屋に移動してしまった。は向日を撫でる手を下ろして、前を向きなおし、下を向く。
またやってしまったようだ、とそう思いながら苦笑する。日吉の事でである。
考えてみれば、日吉は初対面からそうだ。が笑いを含めつつ友好的に接したとしても、
淡々と、興味はない、と言わんばかりの表情で、心底迷惑そうにする。


ちゃん。」

「・・・・・う?」

「日吉はいつもああだから、気にしなくていいんだよ?」


それは滝にも言われた事だという事は、勿論覚えているのだが。
やはり気になってしまうのは特にがお人好しだからというわけではなく。

・・・・・・いかん。シリアス気味になってしまう。

は急にぺちっと自分で両頬を叩く。
そして、勢いよく立ち上がる。目の前にいた向日は驚いて後にのけぞって倒れた。


「私、話してくる!」


そう言って、日吉のいるトレーニングルームに向かう。
中の日吉に断る事もなく、躊躇う事もなく、開けて、行ってしまった。


「・・・・・日吉今着替えてるんとちゃう?

「だろうな。」

「大丈夫ですか、ね?」
















































大丈夫じゃないです。









すんません。



ちょっと、否かなり考えなしでした。








は入ってきた扉の方にべたりと張り付いて半泣きだった。かろうじて、悲鳴は上げていない。
日吉は驚いたように目を見開き、の後姿を凝視する。日吉は溜息を吐いてシャツを羽織る。
そのあからさまな溜息に、当初の目的を思い出し、は意を決して扉から額を離す。

急に振り返ったに驚く日吉。釦を留めようとする手が止まる。


「・・・・っ!?ちょっ、何するんですか!!」


急に腰に抱きついてきたに日吉は驚きの声を上げる。
ぐっと少し力を入れて引き剥がそうとするが、は離れようとしない。


「ひよひよひよひよひよひよっっ!!!」


抱きついたまま何度も言う
必死、と言わんばかりのその表情に日吉は引き剥がす事を諦める。


「・・・・・。何ですか。」

「ごめん。五月蝿くてごめん。」

「別に俺には関係な、」

「ヒヨにとっては関係ないけど、私にとっては関係ある!」


顔を上げて日吉の顔を見る。


「ヒヨと仲良くしたい!」


日吉はもう一度盛大な溜息を吐く。
それを見て、は目を見開き申し訳無さそうに手を離した。


「ごめ、」

「あんたは小学生ですか。」

「へ?」


あなた、から、あんた。
少し乱暴なそれは、距離が近くなったと思っていいのかな。


「日吉若です。先輩。」


自己紹介と名前呼び。
これは、いい感じなのかもしれない。
は嬉しそうに笑って、再度日吉に抱きついた。


「ありがと!ヒヨ!!」

「・・・・・っ離れてください!」

「やだ!」


離そうとしているもののそれほど力は入ってない。
だから、日吉も本気で嫌がっているというわけではない。
それがわかったから、は更に嬉しくなった。



ガチャ


、大丈夫かー?」




・・・・・・・・・・・。



忍足は扉を開けた体勢のまま硬直。後では他のメンバーも硬直していた。
目の前には、シャツを羽織っただけの日吉とそれに抱きつく
硬直しない方が珍しいのではないだろうか。


「え、何?日吉とちゃんらぶらぶーーー!!??

「そーなの!らぶらぶなっちゃったの!!!

「は!?何言ってんですか!?」


うそーっとオーバーリアクションの芥川。
嬉しそうに笑う。引き剥がそうとする日吉。





「忍足は駄目で日吉はいいのか。」

「何が?」


跡部の言葉に疑問符を浮かべる
ん、と日吉の上半身を指さす。


「見ても平気なんだな。」


その指す方を目で追って、は目の前の肌色の壁に行き着く。
つまり、日吉の上半身というわけであるのだが。




























「みぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっっ!!!!!!」













その後、すぐ近くで大声を出され耳が痛い日吉に、土下座して謝るがいたとか。
勿論、彼女は跡部にもこってり怒られたそうだが。
























































Buck


































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なんかちょっとだけシリアス入っちゃった。
本当、火來は日吉好きだなぁ。
久しぶりすぎて呼び方とか地の文の書き風とか、ヒロインさんのテンションがわかりません。